解決する方法

環境を破壊しない農業技術の開発を軸に、

有機農業を最新のテクノロジーでアップデート

従来の防除法に代わる植物保護資材で脱化学農薬。

雑草や虫の「薬剤耐性菌」との戦いをやめる

独自に開発した植物保護資材で、植物病原菌を殺さない方法で農作物を保護します。

雨や風で畑に運ばれてくる病原菌は、植物の葉の表面に穴をあけるか、葉面に開いている穴(気孔)から内部に侵入して増殖。植物側も防衛機能を働かせ、侵入してきた病原菌を排除する抗菌物質などを生産するものの、病原菌の進行が速いと光合成が出来なくなり、育たなくなってしまいます。  

こうした植物が病気になるメカニズムから、弊社は病原菌の物理的侵入を防ぐ植物保護資材を考案しました。

研究の結果、ナノ化した木材パルプ(セルロースナノファイバー)を植物に噴霧すると葉面の形質が変わることを発見。これにより、病原菌が葉面に付着しても、そこが葉面であると気づけなくなります。また、侵入口となる気孔にもナノレベルの網戸が張られる効果があり、病原菌の侵入をしっかりと防げます。こうした効果がありながら光合成は阻害しないため、植物はシンプルに「外敵からの防衛ストレス」から解放されることとなり、全体の収穫量アップも期待できます。

天然素材成分のため、どこでも安全安心に使用できる

植物病害の約8割に効果があり、成分は化学物質を一切使用しない水99%以上・木材1%の天然素材。安全で使用上の注意事項がなく、途上国の農薬による健康被害も軽減できます。また、有機系の殺虫剤や葉面散布肥料とのブレンドにより、幅広いレンジでの活用が期待できます。

100万種以上の土壌微生物を活用した農業資材で、脱化学肥料。「土壌の劣化」を防ぐ

社名の由来でもある「Synthetic Community(農業生態系)」を利用した土壌改良手法の開発も進めています。

最新のDNAシークエンサー※によって土壌の微生物集団(Microbiomes)の複雑なネットワークを科学的に解明・分類。農業に貢献できる役割や機能をもった特定の微生物を分離し、培養します。その微生物を無菌の土壌に定着させ、畑に戻すことにより、化学肥料に頼らずに土壌の自律的な回復を促します。

「土壌の窒素分の分解」「植物の栄養吸収の効率化」「植物免疫の活性化」「植物との相互作用による除草」「根の伝染病からの保護」「土壌物性の改善」の6つの機能を司るキーストン種※を中心に微生物資材化を計画しています。

化学肥料に代わるこの微生物資材は、化学物質を土壌に投入しない低炭素農業実現の軸となる商品です。

※生物から取り出したDNAを制限酵素などで断片化し、ベクターと結合させた上でクローニングを行う。これをPCR法によりさらに大量に増やし、電気泳動にかけて解析し、配列を読み解く。

※生態系において個体数が少なくとも、その種が属する生物群集や生態系に及ぼす影響が大きい種。

土壌微生物を活用した農業資材で「水不足」の解消にも貢献できる

植物が求める水の量は、生育時期や農作物の種類によって異なります。そのため、土の状態を良好に保つためには「水持ちが良く、水はけの良い土」が必要です。

土に適度に水分がある状態を「水持ち」、雨が多く降っても土が必要以上の水をためずに流すことを「水はけ」。一見して矛盾しているように思える「水持ちが良く、水はけの良い土」は、有機栽培をしている畑の「ふかふかの土」が叶えてくれます。「ふかふかの土」とは、地中の微生物などの働きで、土の粒同士がくっついた塊が多い土。土の塊には適度に水分を蓄えられる余裕があり、多少雨が降らなくても植物が枯れにくくなります。さらに土の塊の間に大きなすき間が生まれるため、余計な水は流され、通気性も良く、植物の根が張りやすくなります。

反対に農薬や肥料の多用によって微生物がいなくなった土は、水持ちや水はけが悪く空気も通りにくい土。土の塊が作られず、細かな土の粒でカチカチになっている状態です。結果として、雨が降らなければ農作物は干からび、雨が降ると水がたまって根腐れを起こしやすくなります。

土壌微生物を活用した農業資材を普及させ、有機栽培の「水持ちが良く、水はけの良い土」を増やせれば水が自然に循環し、過剰な地下水の汲み上げも防げます。土壌の微生物を研究し、活用することは水不足の解消にも貢献できるのです。